信濃町独自が測定した森林セラピーの効果
森林浴がヒトの身体と心を癒す効果があるのは、なんとなく皆さんもご存知だと思いますが、「本当に癒し効果があるのだろうか?」と疑問に思っているでしょう。信濃町では本間請子医師と協力し、信濃町の森林において医学的確認を試みています。
森林浴の「癒し効果」については、林野庁が主導している外郭団体の「森林セラピー研究会」において、唾液中のコルチゾール濃度等を用いて生理的な変化を検証したものがあります。しかし自治体、地域単位の取り組みとして研究を行ったのは、間違いなく信濃町が初めてです。
首都圏に住む61名の方に体調や年齢に応じて距離や高低差の異なる3コース(黒姫高原、野尻湖畔)を歩いてもらい、森林浴前後の血液データを比較しました。その際には、森林メディカルトレーナーに同行してもらい、森林の「癒し効果」の説明や呼吸法を一緒に行ってもらいました。
血液の解析結果は、自律神経機能が安定するといわれる数値にいずれも近づいており、医学的にも効果が現れていました。「森林浴後の気分」についてのアンケートでも多くの方が「とても気分が良かった」と答えています。
森林浴には、
・ 落ち着きを取り戻すカラーセラピー効果のある「緑色」、「木漏れ日」
・ 自然の音楽療法ともいえる「鳥の鳴き声」、「せせらぎ」、「静けさ」
・ アロマセラピー効果のある「森が放つ緑の香り」、「フィトンチッド」
など、多様な要素があり、視覚・聴覚・嗅覚・呼吸を通して人体に作用し、自律神経機能をバランスの良い状態にします。
森林内の歩行で生理的にリラックスすることができます。
(都市と森林それぞれで20分間歩いた結果)
都市に比べて、森林では唾液中ストレスホルモン(ストレス状態にあるとき分泌される物質)濃度が低下しました。
都市に比べて、森林では血圧が低くなりました。
森林保養地での歩行で免疫カがアップします。
(都市に勤務する女性看護師13名が、2泊3日で森林セラピー基地へのツアーを行った結果)
森林浴後、血液中のガン細胞やウイルスなどから体を守るナチュラル・キラー(NK)細胞の数及び抗ガンタンパク質の増加によってそのNK細胞の活性が増加し、さらに持続効果が認められました。これらのことから、 森林浴によって身体の免疫力がアップし、抗がん能力も高まると考えられます。
NK細胞の活性が、森林浴前と比べて森林浴1日目・2日目に高くなり、さらに1週間後・1ヶ月後にも高いレベルを持続することがわかりました。
(資料:李卿ら 森林浴が女性のNK活性を高め抗ガン機能を向上する JBiol Regul Homeost Agents 2008)